住宅用蓄電池問題の課題
「うん、聞こうかなと思ったんだけど、やっぱり言えないよな」「わたしだったら尋ねてみるわ。だって、おかしいと思ったんでしょう」「やっぱり言えないよ」女性インストラクターは、「そうかな」と首をかしげている。
でも、コミュニケーションを教える者にしてはレベルの低い話だとお思いかもしれないが、実際にあったことだから仕方がない。
「おかしい」「変だな」「納得できない」そう思ったら、口に出して言ってみるべきだ。
とはいえ、実際となると言いづらい。
そこで、「やっぱり言えないよな」とつぶやきながら妥協してしまう。
ここを突破するのが、実践のためのトレーニング・ポイントになる。
なぜ妥協してしまうかというと、第一に、「ことを荒立てたくない」「なるべく穏便にすませたい」という心理が働くからである。
自分が我慢すればすむことだったら黙っていようと、主張を抑えてしまうのである。
かつては、「じっと我慢」は女性の姿だったが、現代は、むしろ女性のほうが思ったことをはっきり言うのかもしれない。
男性は現状維持的で、できればゴタゴタを起こしたくないと思うのに対して、女性は「これからはわたしたちの時代」であり、新しい現実をつくろうという意気込みがある。
こうした社会的・心理的背景が関係しているとも言える。
新入社員研修でも、年々女性のほうが発言が活発になっている。
第二に、前にも述べた「恥をかきたくない」という思いである。
入社二年目の若い社員と、ある。
セミナー・ハウスのコーヒール1ムで話をしたときのことで仕事にも慣れ、関係先にも顔を知られるようになって、「そろそろ仕事が面白くなり始めた頃」だという彼は、額の広い、一見して頭のよさそうな青年であった。
「一年目はわからないことだらけで、戸惑いっぱなしでしたけど、二年目になって、どうにか様子もわかるようになりました。
いちばん心強いのは、あちこちに人間関係ができた'ことです。
新入社員とぼくらと、仕事上の知識・技術の点では、そんなに大きな聞きはありませんが、人間関係があるのとないのとでは、仕事をする上で大きな差になりまずからね入社二年目で人間関係の果たす役割に気づいたのは、なかなかのもの。
そこで、質問してみた。
「人間関係ができていたら、自己主張も遠慮なくできるわけだね」「自己主張?」ちょっと聞をおいてから、彼は言った。
「雑談や会話なら気軽にできますけど、自己主張となると、やはり考えますね。
まだそこまで自信がないし:::」「指示された内容がよくわからなかったり、納得できない場合などは、質問するんでしょ?」「それがですね。
入社二年目になると、あまり初歩的な質問はしにくいし、上司には言いづらいことが多いですね。
先日も、『きみ、これ前に一度ゃったからわかるよね』と言われて、困ったことがあります。
一度やったくらいでは、まだわからない箇所もあるんですよ。
でも、新人じゃあるまいし、いいえわかりませんとは、恥ずかしくて言えないし・・・・・・」確かに、「わからない」とは言いづらいかもしれない。
でも、わからないことを質問するのは、何も恥ずかしいことではない。
わからないのにそのままにしておくほうが、無責任なのだ。
一般に、意見を述べる、質問をするというのは、自分にも相手にも誠意のある態度である。
屈の勘定に疑義を抱きながら、何も言わないで二度とその屈に行かないより、言うべきことは言って、納得がいけば再びその屈の客となるほうが、庖にとってもありがたいはずだ。
一時は波風が立っても、意見を述べてくれる客のほうが歓迎されるのである。
入社二年目であろうが、三年目であろうが、不明な点を質問するのは、責任をもって仕事に取り組む正しい姿勢なのである。
「キミはまだわかっていないね」と上司に言われたら、悪びれずに率直に「どういう点がでしょうか。
教えてください」と質問すればよい。
とにかく、「コレはいえないよなあ」は禁句にしよう。
2相手の反応を気にせず、思ったことを言う朝、出勤してきて、上司に、「おはようございます」とあいさつする。
新聞を広げている上司は新聞の脇からかすかに顔をのぞかせただけで、「ああ」でもなければ「うん」でもない。
「朝からああいう態度をされると、がっくりきますね」お前のことなど眼中にないと言わんばかりの上司の態度に、部下はショックを受ける。
特に最近の若い部下は、上司のあいさつは自分への好意的なメッセージと思っているため、ろくにあいさつもしてくれない上司は自分に好意を持っていないと感じる。
「こんな上司のもとで働く気がしない」と、本気で辞めることを考えるそうである。
なんともやわな若者がふえて困ったものと思われるだろうが、相手の反応を過度に気にするタイプは、年配者にも少なくない。
それだけ自己が確立されていないとも言える。
先日会った四十年輩の男性は、穏やかな感じの人だったが、上司の反応に対する部下のこだわりについて、次のように話した。
「みんなそんなに気になるのかなあ。
ぼくなんか、朝あいさつした相手がどんな態度をとろうと気にかけませんね。
こっちを向かなかったら、気分でも悪いんだろうと思うだけですね」そう言って、穏やかにもう一度「やっぱり、そうですね」。
見かけは静かでも、この人には、相手の反応にいちいち影響されない自己がしっかりと存在しているのだろう。
わたしも、人前で話をするときに聴衆の中に腕組みをして下を向いている人がいると、気になるほうである。
話を聞いてもらう努力・工夫という点からは、放っておくのはよくない。
とはいえ、気にしすぎていらいらし、自分の話が乱れるようでは他の大勢の聴衆に迷惑をかけてしまう。
振り返ってみると、過度に気になるのは、話に自信がないとき、話に身が入らず気持ちに余裕がないときが多い。
こちらに確たるものがあれば、「疲れているのかもしれない」と、相手を思いやるゆとりも持てる。
簡単なようでも、そこには少々のことでぐらつかない自己がなければならないのである。
自己主張は、主張すべき自己を持つからこそ、力を発揮するのである。
そうは言っても、気の弱い人もいれば自己の不安定な人もいる。
反発や抵抗を恐れて、思っていることが一言えずに悩むケ−スもあるだろう。
恐れたり心配したりで、言わずにすませていたら、マイナスもない代わりに、プラスも生じない。
前に述べたように、主張には何らかのリスクが伴う。
リスクがあるから、利益も生ずるのだ。
思い切って発言して、「ああよかった」という経験を味わうほうが、力がつくのである。
K氏の『さらばねくら病』(プレジデント社)に面白い例がのっている。
マイ主張型コミュニケーションのすすめ係長になったばかりのTの悩みは一人の部下のことだった。
仕事のやり方がマイペースで協調性がない。
係長ともなると注意しなければしめしがつかないと思うのだが、実は彼は社歴も年齢も先輩で、ただ昇進試験を受けたがらなかったゆえに地位が逆転したといういきさつがある。
注意したいが言えない、の毎日でノイローゼになった。
私は言った。
「あなたの発言を相手がどうとるかは、いわば相手の決めることで、こちらがひとりで決めることではないんです。
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